ロウきゅーぶ!13

ロウきゅーぶ! (13) (電撃文庫) 文庫 – 2013/7/10
蒼山サグ (著), てぃんくる (イラスト)
全15巻なのは分かっていたので
いつもの感じなら14巻で本編終わって最後が短編集かなー?なんて思ってたら
今巻で完結してちょっと戸惑っています。
というわけで公式戦・硯谷戦決着です。
最後だけあってか、過去の作中からのセルフオマージュを多く取り入れ
「ああ、そんなこともあったなぁ」と読者としては郷愁にかられることもしばしば。
その一つが試合終了間際、「硯谷相手に」誰がシュートを打つのか。
あるいは延長が終わる直前のラストシューターが「どこに」いるのか。
さらにラストのシーンで智花と昴が「どうやって」学校まで行くのか。
一つ一つのシーンをサグ先生が大事にしてきたのだと実感できます。
バスケとしては結果的に負けてしまうわけですが
この5人にとって一番大事なのは「バスケをすること」そのものであって
本質的には勝ち負けではなかったのだろうなと。
僕は一巻の初見時にこの作品が「努力・友情・勝利」がテーマだとばかり思っていましたが
本当は「友情・ほほえみ・フェアプレー」だったわけです。
だから大会後のミーティング、6人にあったのは悔しさの涙ではなく
この6人で目指すバスケが到着地点に達し、その先に目指すものが形として無くなってしまった、という
そんな寂しさの涙だったのでしょうね。
Amazonのレビューなんか見ていると「中学生編を!」なんて意見もあって
良い作品だったしそう思う気持ちも分かるのですが
やはりこの作品の根幹は「小学生という限られた時間の中で放たれる煌きとその儚さ」
だと思ってるので卒業したらそこで終わりで良いのだと思います。
きっと昴も葵も万里も6年生達も
みんなこの先ずっと形はどうあれバスケを続けていくでしょうし、
智花は毎日昴の家に通い続けるでしょうし
葵の思いが昴に届くことはきっと無いでしょう。
彼らの未来は誰の中にもあって、誰の中にもないのだろうから。
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